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ピュー・コンセプト・セレクション

横浜市 福田次郎

編著者:

ピュー・コンセプト・セレクション

ピュー・コンセプト・セレクション(Pugh Concept Selection)は、複数のサービスやその提供方法(ソリューション)のアイデアを相対的に比較し、それぞれの特徴を把握するためのシステム思考のフレームワークです。
この手法を用いることで、デザイン思考のプロセスの中で考えた、サービス・ソリューションの強みや弱みを視覚的に把握しやすくなり、アイデアを評価し、最適なサービス・ソリューションを考え、選ぶ際に役立ちます。

■ツールレベル ※フレームワーク自体のレベルではありません

初中級

■ 特徴


新たな事業政策・サービスを企画・立案する際に、いろいろなサービスやその提供方法(ソリューション)のアイデアがあって、どれが最適な方法なのか迷うことがあります。逆に、新しいアイデアを思いつくと、それが最適な方法と思いこんでしまい、アイデアをさらに改善したり、別なもっと良い方法に目を向けたりできなくなることがあります。


ピュー・コンセプト・セレクションは、客観的な視点でサービス・ソリューションを評価し、最適な解決策を導き出すためのフレームワークです。感情や主観に左右されず、論理的に判断することができます。


このツールでは、複数のサービス・ソリューションから一つを基準に選び、複数の評価項目について、基準のサービス・ソリューションとの相対比較で他のサービス・ソリューションを評価していきます。


相対評価なので、例えばコストなどを定量的に推計する必要は無く、簡便に評価することができます。

また、複数の評価項目の中で、優劣を可視化していく過程で、自然と最適なサービス・ソリューションのイメージが浮かび上がってきます。


複数のサービス・ソリューションの中から、最適なサービス・ソリューションを選択するのに使えますが、評価項目やサービス・ソリューションを変更・追加して評価を繰り返すことで、重要な評価項目(機能要件)に気がつき、それを基にサービス・ソリューションを改善していくことができます。


行政における新たな事業政策・サービスの企画・立案では、間違った方法を選んでしまっても、途中で中止したり修正したりすることが難しいことが少なくありません。


このツールを用いることで、行政職員の方が、限られた資金や人的資源や時間のなかで、既存の方法や単なる思い付きにとらわれず、現実的で適切なソリューションを方法を見出して選択するのに役立ちます。



■ 利用者・活用シーン


  • 政策・事業立案者

  • 基本計画・事業計画担当者

  • サービス企画・設計担当者

  • システム企画・要件定義設計担当者

  • 意思決定者



■ 前提・留意事項


特別な前提知識は必要ありません。ただし、評価項目を設定する際には、利用者視点での価値を考えることができ、さらに関連する分野の知識や経験があると、より適切な評価を行うことができます。



■ 使い方


グループで実施するのが望ましいですが、一人で考察する場合にも有効なツールです。

事前に、ブレインストーミングなどを行って考えた複数のサービス・ソリューションのアイデアをリストアップします。ピュー・コンセプト・セレクションでは、アイデアを「コンセプト」と呼んでいます。考えたコンセプトについて、「実践用ガイド」に沿って、ワークシート上でアイデアを練り上げていきます。


(ワークの流れ)


1. コンセプト(サービス・ソリューション)のリストアップ

横軸に複数のコンセプト(サービス・ソリューション)をリスト化します。


2. 評価項目の設定

縦軸に各コンセプトを評価するための評価項目を設定します。例えば、利用者にとっての価値(バリュー)、提供者にとってのリスク(費用、手間)、提供までの時間や実現可能性などが評価項目になります。


3. 基準(DATUM)の設定

既存の方法など、比較の基準となるコンセプトを1つ選びます。この基準は他のサービス・ソリューションと比較するための参照点となります。


4. 比較と評価:

グループ内でディスカッションしながら、基準となるコンセプトと他のコンセプトを1対1で比較し、各評価軸ごとに「+」(優れている)、「S」(同等:SAME)、「-」(劣っている)を付けます。


5. 評価の集計

各コンセプトの「+」「S」「-」の数を合計し、全体的な評価を行います。


6. 基準の変更と再評価

評価の中での気づきから、評価項目やコンセプトを見直し、再度評価を行います。


7. コンセプトの絞り込み

比較を繰り返す中で、考慮すべき評価項目や、それらに対応する最適なコンセプトを絞り込んでいきます。


(参考時間配分)


  • 評価基準設定 :30分

  • 重み付け :15分

  • コンセプト評価 :30分

  • 総合スコア算出 :10分

  • コンセプト選択 :30分


(利用教材)


  • ホワイトボード・マーカー または ワークシート

  • 電卓



■ 実績・有用性


  • 客観的な評価: 評価基準に基づいてサービスやソリューションを評価することで、客観的な視点で判断することができます。

  • 透明性の確保: 評価プロセスが明確化されるため、意思決定の透明性を確保することができます。

  • 納得性の向上: 関係者全員が評価基準を共有することで、選択されたサービスやソリューションに対する納得性を高めることができます。

  • 実績:横浜市「子育て応援サイト・アプリ」の企画では、サービスの最適な提供方法を選択するのに役立ちました。



■ 次のステップ


  • デザイン思考に関する書籍


システム×デザイン思考で世界を変える 慶應SDM「イノベーションのつくり方」 著者 前野隆司、保井俊之、白坂成功 日経BP社(アドバンス研修・実習)


  • 研修プログラムへの参加


「システム×デザイン思考」を実践に生かすプロジェクト・デザイン合宿研修

主催:慶應義塾大学システム・デザイン研究科附属SDM研究所マネジメントデザインセンター

お問合せ先:慶應義塾大学学生部大学院SDM担当e-mail:sdm@info.keio.ac.jp

 

​【関連情報】

■関連フレームワーク

  • ブレインストーミング

  • 親和図法

  • KJ法

  • バリューグラフ

  • CVCA(Customer Value Chain Analysis、顧客価値連鎖分析)

■関連スキル

デザイン思考, サービス設計

■関連研究・事業

本コンテンツは、総務省行政管理局「行政運営の変革に関する調査研究」事業で作成されたコンテンツを、同局の許諾を得て掲載しているものです。

■ダウンロード資料

ワークシート

ユーザー向けガイド

■著作者・連絡先

福田次郎(横浜市CIO補佐監)

mr.fukuda.jiro@gmail.com

■掲載年月日

2025年3月31日

■ご連絡・お問い合わせ

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