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IMC(空間的課題解決チャート)の作成

つくば市 家中賢作、朝日航洋株式会社 新井千乃

編著者:

IMC(空間的課題解決チャート)の作成

IMC(Imaginary Mapping Chart)は、データを使った課題の整理方法の一つです。GIS(地理情報システム)を使用し、様々なデータを地図上に重ね合わせたり、数値分析を行ったりすることで課題の発見や解決に導くためのアプローチです。本プレイブックは、IMCを活用しながら思考を整理し、気づきを得るプロセスを体験するためのものです。複数のデータを組み合わせて課題解決策を検討する方法を身につけることを目指します。

■ツールレベル ※フレームワーク自体のレベルではありません

初級

■意義・特徴


IMCはデータを使った課題の整理方法の一つです。GISを使用し、さまざまなデータを地図上に重ね合わせたり、数値分析したりすることで課題の発見や解決につなげるためのアプローチです。

 課題の発見・解決に地図情報が有効であるのは、世の中のデータのほとんどは、地図情報と関連付けることができ、地図上に展開すると視覚的に理解しやすくなるからです。地図を用いた可視化によって新たな気付きが生まれ、対象の特徴や傾向の把握といった定性的な評価や、数値データの分析に基づく定量的な評価(数値を用いた分析)が可能になります。データ利活用の際に、GISがよく使われるのはこのためです。

 本プレイブックは、つくば市の研修で活用されているIMCの手法を基に、実践しやすいように一部アレンジを加えたものです。本来のIMCでは、GISを利用することを前提としており、記載する情報についても「点・線・面」のどのデータに該当するのかを考慮する必要がありますが、GISに馴染みのない方でも取り組みやすいよう、本プレイブックではその部分を省略し、情報名を自由に記入できるよう調整を行っています。また、記入方法が分かりにくい場合に備え、ワークシートには参考となる見本も掲載しています。



■活用シーン


行政機関等、特に自治体では、これまでも総合計画の策定などでデータが利活用されてきましたが、最近では、こうした取組において「庁内でしか利用できないデータを行政機関等職員が利活用する」ことが重要なポイントになりつつあります。

 本ツールは、行政機関等が所有するデータを活用し、課題の発見・解決につなげるための検討方法を学びたい方や、GISをより効果的に活用したい方に利用いただくことを想定したものであり、行政機関等の幅広い部門の職員が利用の対象になり得ます。



■前提・留意事項


本プレイブックのIMCの作成には、GISの知識は不要となるよう調整しています。ただし、GISを操作できる方は、IMCで検討した結果を地図上で可視化することで、より直感的な分析が可能になりますので、ぜひ活用してみてください。



■使い方


(ワークの流れ)


このワークは、個人ワークでの実施はもちろん、グループワークとしての実施も可能です。

 つくば市の研修では、まず個人ワークで作成した結果を持ち寄り、グループで情報を共有しながら、さらに深く考察し、内容を整理していきます(図1)。

図1:IMCのワークシート


まず、「課題・目的」を設定し、「背景図」に全体像を把握しやすい地図(例:道路図、航空写真、人口分布図など)を設定します。次に、課題を解決するために必要な情報を「レイヤ」、「その他」の欄に記入します。なお、背景図として設定した情報を「レイヤ」や「その他」に再度記載しても問題ありません。重要なのは、どの情報を活用するのかをしっかり考えることです。

 「処理、組み合わせ方等」には、どのような分析を行いたいのかを具体的に記載します。例えば、レイヤ1に記載した情報と人口データを組み合わせ、地域ごとにデータ分類を行うなど、思いつく分析方法を記入します。

 「地図のタイトル」には、設定した課題を簡潔に表すタイトルをつけます。GISのイメージがつかみにくい場合は、考察した内容やその結果をまとめたものに名前をつけるような感覚で記入すると良いでしょう。

(参考時間配分)


15分~ 


(利用する教材)


IMC(Imaginary Mapping Chart空間的課題解決チャート)

記載方法:印刷して手書きで記入、ワードファイルに直接入力のいずれも可



■実績・有用性


行政サービスの多くは、地理的条件や地域特性を考慮する必要があり、IMCを活用することで、地図情報と他の情報を統合して分析し、直感的に課題を整理できます。特に防災、交通計画、高齢者福祉などの分野では、地図情報を活用した可視化により、新たな施策の発想を得ることや、政策の最適化を図ることも考えられます。

 例えば、防災分野では、ハザードマップ上の危険エリアにいる要援護者の位置を特定し、優先的に避難計画を検討するといった活用が可能です。これにより、より効果的で実効性のある避難計画の立案が可能になると考えられます。

 このように、IMCは、行政機関等の政策立案やサービス改善にとって有用な手法であり、つくば市のデータ活用研修でも活用されています。



■次のステップ


(アドバンス研修・実習)


データクレンジング:データを機械判読性が高い形式に置き換える方法を学べます。

データの公開レベル分類:データの公開レベルを理解し、が適切に分類する方法を学べます。


(参考文献とその概要)


  • Esriジャパン 【教育GIS便り】主題図作成のプロセス

https://www.esrij.com/news/details/75529/

  • 「授業で役立つ!主題図作成プロセス」(浦川豪ほか)


(関連フレームワーク等)


  • Esriジャパン 参加型 GIS 教育教材作成:「授業で役立つ!主題図作成プロセス」

https://www.esrij.com/industries/case-studies/58839/

  • Esriジャパン 【教育GIS便り】主題図作成のプロセス

https://www.esrij.com/news/details/75529/


​【関連情報】

■関連フレームワーク

  • IMC(Imaginary Mapping Chart空間的課題解決チャート)

■関連スキル

データ利活用

■関連研究・事業

本コンテンツは、総務省行政管理局「行政運営の変革に関する調査研究」事業で作成されたコンテンツを、同局の許諾を得て掲載しているものです。

■ダウンロード資料

本ガイドはクリエイティブ・コモンズ(CC BY-SA 4.0)のもとで提供されており、同一ライセンスの適用を条件に改変・再配布が可能です。

ワークシート

ユーザー向けガイド

■著作者・連絡先

  • つくば市 家中賢作

  • 朝日航洋株式会社 新井千乃

  • (IMCの原著作者)Esriジャパン

■掲載年月日

2025年3月31日

■ご連絡・お問い合わせ

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